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食べ物が口に入ってから喉の奥に運ばれごくんと飲み込まれて食道を通るまで、口や咽(のど)はとても複雑な動きをしています。食べた物が飲み込んだ際に誤って気管に入ってしまうことを「誤嚥(ごえん)」といいます。誤嚥により食べ物に付着した細菌が肺の中で増殖して誤嚥性肺炎をひきおこすことがあり、大変危険です。「噛む」「飲みこむ」ことに障がいのある人が安全に食事をするためには、気をつけなければいけないことがあります。
ポイント1介護ごはんで求められる食品の形と調理法
食品の形状 | 調理方法 | |
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噛みやすい | ![]() |
噛みやすくするには噛む回数を少なくします。
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飲み込みやすい | ![]() |
飲み込みやすいようなめらかにします。
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ひとまとまりのかたまり (食塊)を作りやすい |
![]() |
食べ物が口のなかでバラけないように、ひとまとまりのかたまり(食塊)になるようにまとめます。
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ポイント2ちょうどよいやわらかさ・飲み込みやすさって?
おいしく安全な介護ごはんを作るためには、どのくらいのやわらかさ・なめらかさ・飲み込みやすさが食べやすいのかを、まずはきちんと知ることが大切です。また、食べやすさの度合いは日々変化しますので注意が必要です。
ポイント3誤嚥(ごえん)を招きやすい危険な食品の特徴
バラバラになる食べ物 | おから、ひき肉、かまぼこ、こんにゃく、レンコン、ピーナッツ、寒天などは、細かく刻むと口の中でバラバラになりやすく、ぽろぽろと喉に落ちて誤嚥を引き起こしやすくなります。 こうした食材を調理するときは、とろみをつけたり、ペースト状にしたりして、粘り気を加えましょう。 |
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酸っぱい食べ物 | 酸味の強いものは、むせやすいので注意が必要。 出し汁などで酸味を薄めるとよいでしょう。 |
サラサラした液体 | 水、お茶、ジュース、汁物などの液体は、噛む必要がなく飲み込みやすそうに思えますが、実は細心の注意が必要です。 サラサラしているため速いスピードで喉を滑り落ちていき、誤嚥の原因となりやすいのです。 |
パサパサした食べ物 | パン、カステラなどスポンジ状でパサパサしている食品は水分が少ないため、口の中でバラバラになりやすく、飲み込みやすい食塊を作りにくい食材です。唾液と混ざるとベタ付いたかたまりとなって口の中に残りやすくなります。摂取量が多いと喉に詰まる危険性もあります。 |
不揃いに切ったもの | 包丁などで細かく刻む場合、刻んだ一つひとつの粒の大きさが不揃いだったり、堅さが違う食材が含まれていたりすると、噛むのが難しくなり、食塊を作るのが難しくなります。 大きさや堅さが不揃いな食材は、同じ大きさ、堅さにそろえるようにしましょう。 |
ペタペタ貼りつくもの | 薄くスライスしたキュウリ、わかめ、海苔などは喉に貼りつきやすく飲み込みにくくなります。粉海苔やきな粉などの粉っぽいものも貼りつきやすいため、飲み込みやすいものと合わせて利用しましょう。 最中の皮やウエハース、餅なども喉に貼りつきやすい食材です。なるべく避けましょう。 |

- POINT
- 「バラ・酸っぱ・サラ・パサ・切る・ペタ」は、介護ごはんNG形状と覚えましょう!
ポイント4とろみをつける食材いろいろ
一般的なデンプン粉 その他 |
片栗粉、くず粉、小麦粉、コーンスターチ、ゼラチン、寒天、ジャム、増粘安定剤(※1)など |
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粘性のある野菜・海藻類 | すりおろした大和芋、長芋、オクラ モロヘイヤ、とろろ昆布 |
デンプン質のイモ類、野菜 | さつま芋、じゃがいも、里芋、かぼちゃ、レンコンなどを茹でてピュレ状にすることで、とろみとして利用できる |
油脂 | マヨネーズ、クリームチーズ、生クリーム、ドレッシング、バターソース、ホワイトソース、ヨーグルトなど 油脂特有のなめらかさととろみが飲み込みやすさに利用できる |
よくすり合わせた衣・ソース類 | 白和え衣、ごま和え衣、練り味噌(ごま、ゆず、木の芽、からし)、トマトソース、ケチャップ、中濃ソースなど なめらかなペースト状やソース状のものを利用する |
- ※1 増粘安定剤は食品添加物で、「とろみをつける」「粘り気を出す」「ゼリー状に固める」「状態を安定させる」などの働きがあります。食品の成分表示ラベルで「増粘剤」「ゲル化剤」「安定剤」などの表示で広く見かけるものです。
ポイント5食べる前の準備運動
「ものを食べる」という動きには、口の中だけではなく、実はさまざまな場所の筋肉が使われています。口の周り、首から背中、肩、腕など上半身の筋肉がスムーズに動いて、「噛む・飲み込む」という動きを助けているのです。
「誤嚥予防」のためにも、食事の前に、口の周り、首や肩を動かす「食べる前の準備運動」をやってみましょう。
肩の周りを動かす体操
- ①肩を上下に、動かす(5回)
- ②両手をつないで、上に伸びる(1回)
- ③上に伸びたまま、左右にたおす(5回)
- ④両手を肩に置き、前回し・後ろ回し(各5回)
首の周りを動かす体操
- ①首を前後にたおす(各5回)
- ②首を左右にたおす(各5回)
- ③顔を左右に向ける(各5回)
- ④首をぐるりと大きく、右回し・左回し(各3回)
口の周りの筋肉と舌を動かす体操
- ①口を大きく開いて、閉じる(5回)
- ②唇を横に引っ張って、突き出す(5回)
- ③舌を出して、入れる(5回)
- ④舌を上唇につける・下唇につける(5回)
- ⑤舌を唇の右につける・左につける(5回)
- ⑥頬をふくらませて、へこませる(5回)